カゴ落ち改善&リピート率を高める自社ECの「武器」とは?

自社ECとモール

ネットショップの展開形態として、
楽天、Yahoo!ショッピング、Amazon、ポンパレなど、
いわゆる「オンラインショッピングモール」と呼ばれる場所に
出店するという展開形態があります。

オンラインショッピングモール(以下、モール)に出店すると、
そのモール自体が集客をしてくれるということがあり、
すでに人通りのある場所に出店できるというメリットがありますが、
その一方で、下記のようなデメリットもあることから、

  • モールは価格競争に巻き込まれ、安売りになってしまう
  • モールは売上に応じた手数料が増加してしまう
  • モールは顧客名簿が自社のものにならず、活用しづらい

「モールに依存しすぎない状況にしたい」
というニーズが生まれてくることがあります。

そのため、モールへの出店はしていながらも、
同時に「自社ECサイト」に取り組むショップが増えています。

「自社ECサイト」のメリットとしては、下記のようなメリットがあり、

  • 自社の顧客名簿が獲得できる
  • 利益率を高めていくことができる
  • お客様との関係性を築き上げやすい

自社商品を通じて「世界観」を表に出して、メッセージを発信していくことで、
来てほしいお客様に来ていただき、長いおつきあいをしていく関係性を重視する
という、安定感のある店舗経営の基盤を築いていくことができます。

自社ECサイト、最大の障壁

自社ECサイトを展開していくメリットがある一方で、
自社ECサイトには、避けて通れない大きな「障壁」がありました。

それは購入途中に登場する「個人情報の入力画面」です。

購入意欲が高まり、カートに入れて、購入手続きに進むと、
モール系の店舗であれば、ログインして簡単に購入完了となるのに、
自社ECサイトの場合は、名前・住所・クレジットカード番号など、
さまざまな個人情報の入力を強いられます。

個人情報を入力しなければいけない「面倒さ」が、自社ECサイトにて、
購入途中に離脱する「カゴ落ち」の大きな要因となっていました。

自社ECの障壁を打ち壊した「衝撃の武器」

「どうすることもできない」と思われていた
自社ECサイト「最大の障壁」である個人情報の入力を、
「入力不要」で購入完了まで進ませることができる
「衝撃の武器」が、2015年5月に登場しました。

EC業界の巨人、Amazonが「Amazon Pay」
という連携サービスをリリースすると発表しました。

「Amazon Pay」を自社ECサイトに導入すると、
自社ECサイトでも、AmazonのIDとパスワードで、
ログインと決済ができる、というID連携のサービスです。

「Amazon Pay」の登場により、
自社ECサイト最大の障壁は、一気に崩されることになり、
自社ECサイト展開に注力・拡大していく気運が、
EC業界で一気に高まることとなった印象的な出来事でした。

9月の受付開始から、申込が殺到し、600店舗が導入

futureshopでは、一足早くAmazon様からお声がけをいただいていたこともあり、他社ASPよりも早い、2015年9月の段階で、サービス利用受付を開始いたしました。

受付開始後は、次々とお申込みが殺到し、続々と導入される店舗が増加し、
さらにその「評判」を聞いた、他の店舗様からのお申込みも相次ぐ状況となり、
今では600店舗以上が、Amazon Payを導入完了となり、
4店舗に1店舗は利用している、という状況までになりました。

Amazon Payは、何を改善したのか?

Amazon Payを導入すると、
商品をカートに入れた「カート画面」に、
「Amazonアカウントでお支払い」というボタンが現れます。
Amazonアカウントでお支払い

このボタンをクリックすると、Amazonのログイン画面が表示されるので、
Amazon.co.jpのID・パスワードを入れてログインをすると、

一気に、注文確認画面まで進みます。
個人情報の入力をすることなく!名前・住所・クレジットカード番号は、Amazonに登録されている情報が読み込まれ、

あとは「注文を確定する」をクリックすれば、
個人情報を入力することなく、購入が完了します。

まるで、モール店舗で購入をするときと同じような
購入のスムーズさが自社ECサイトで実現できてしまいます。

スマホでの個人情報入力は、実に面倒。

タダでさえ面倒な、個人情報の入力。
スマホであれば、なおさらです。
Amazon Payは、スマホでも、その威力を発揮します。

600店舗が導入した結果、その実際の「効果」は?

Amazon Payの導入効果として、
まず挙げられるのが「会員登録率の向上」です。

自社ECサイトにとって「会員登録率」は「リピート見込み顧客の増加率」に等しく、

「リピート見込み顧客の増加率」が高まるということは、すなわち「リピート売上の発生率」が高まることになります。
ですので、モールと違って顧客リストが蓄積される「自社ECサイト」では、KPI(判断指標)として「売上」の数字を意識するだけでなく、
リピート売上につながっていく「会員登録率」の数字も、重要なKPIということになりますが、
Amazon Pay登場以前、クレジットカード経由の購入での、新規会員登録率は「26.4%」でした。

しかし、Amazon Payが登場し、購入データを確認すると、
新規会員登録率が「42.58%」となり、クレジットカード経由の購入に比べて、約1.6倍の会員登録率となりました。
これまで10人に「2人」しか会員登録していなかったのが、10人に「4人」が会員登録するようになったと考えれば、
リピート見込み顧客の母数が「約2倍」になっているわけですから、これは、その後のリピート売上に対して大きなインパクトがあります。

特に、PCの場合は、28.44%→48.03%という飛躍的な登録率の上昇で、
2人に1人は会員登録をしていることがわかり、興味深い結果となりました。

新規会員登録率が向上した要因は?

この会員登録率の向上を生み出している「要因」として考えられるのは、
個人情報の入力が不要でカゴ落ちしにくい、ということも1つの要因ですが、

Amazon Payの注文確認画面レイアウトに、もう1つの要因があります。
注文確認画面の「右側」を注視していきましょう。

右

ここに「会員規約に同意し、注文者情報を会員として登録する」というチェックボックスがあります。

注文時に、このチェックボックスが入っていることにより、「注文完了」と同時に、「会員登録」も完了することになり、
「新規会員登録率が向上する」という結果が生まれています。

実は、Amazon Payは、決済スピードが速くなるだけでなく、
「Amazonに登録されている個人情報」を読み込んで、そのままfutureshopの「自社ECサイト会員」として登録される
ということが大きなメリットを産んでいます。

店舗側からのアプローチ可能な会員が増加

さらに、注文確認画面の右側には、「メールマガジンを購読する」というチェックボックスもあり、これによりメールマガジンの登録率も高まっています。

「自社ECサイトの会員」として登録されるということは、ポイントの付与や、クーポンの付与が可能となり、しかも、メールマガジンの配信が「可」ということは、期間限定クーポンを発行して、メルマガでお知らせするという
店舗側からのアプローチにより自らリピートを創出していく、待つだけではないリピート施策の実行が可能となります。

決済が簡単になると、購入単価が低くなる?

Amazon Payで、簡単に決済ができるようになると、「まとめ買いがされにくくなり、平均購入単価が下がるのでは?」という懸念がありましたが、
実際のデータで確認してみると、Amazon Pay経由購入の平均購入単価は「1万円~11,000円」の間となり、クレジットカード決済と同程度の平均購入単価となりました。

クレジットカード決済と同程度の平均購入単価

デバイス別で見ると、PCでのAmazon Pay経由の購入単価は、12000円前後となり、クレジットカード決済とそれほど変わらず、

AmazonPayデバイス別データ

同様に、スマホでもAmazon Pay経由が8000円~9000円、クレジットカード決済も同程度の購入単価でした。
Amazon SP

スマホの購入単価が低い。どうすればいいのか?

全体の傾向として、PCのほうが購入単価が高く、スマホは相対的に購入単価が低い傾向にあるため、
スマホの普及に伴い、購入単価が減少傾向になり、そのままでは、利益を圧迫する可能性が出てきます。

スマホの購入単価がPCに比べて低くなってしまう原因としては、小さい画面内の「探しにくさ・買いまわりのしづらさ」があるので、
「単品」での商品提示だけでなく、意図的に「セット販売」を増やしていくことや、
商品ページの下部に「レコメンド商品・ランキング」を表示して回遊性を高めたページ構成にするなど、
スマホならではのページ構成を再考していく必要がありそうです。

「何が売れたのか」の情報は送信していません

Amazon Payを利用される店舗様から、こんな心配をする声がありました。
「何が売れているのか、Amazonに情報が伝わってしまうのではないか」

店舗様としては、どの商品が売れているのかということを、外部に漏らしたくないという気持ちがあり、心配する声をお伺いすることがありましたが、
futureshopの仕組みとして、Amazon Pay経由での購入時には、
「決済情報のみ」を送信し「商品情報は送信しない」仕組みにしているので、

「何が売れているのか」という販売情報が伝わってしまうことはありません。

ですので、安心して「Amazon Pay」の利便性を最大限に活用していただき、自社ECサイトでの展開を拡大していただければと思います。

Amazonボタンの存在が、信頼感を高める?

下記はあくまで、とある店舗の方が言われていたことですが、
「自社ECサイトって、 楽天とか、アマゾンに比べて、 やや信用に欠けるよね。
 でも、カートに入れると、 Amazon Payのボタンが出てきて、
 このボタンがあること自体が、 【安心感・信頼感】を生んでいるような気がする。」
とも言われていました。

たしかに、Amazon Payがリリースされ、導入初期の店舗様から、こんな声を伺うことがありました。

「特に何かを宣伝したわけでも、 説明ページを用意したわけでもないのに、 カート画面にAmazonのボタンが出るようになっただけで、 3割から4割の人が使っている状況になった。会員登録も増えて、驚いてます。」

速さを好むユーザーに、好まれる最初は、その効果を疑っていた店舗様も、実際の導入後は、その効果に驚いたと言います。

「正直、Amazon Payを導入して、どれぐらい使われるのかは、疑っていた。 むしろ、そんなに使われないと思っていた。
 でも実際は、思った以上に使われて、 ウチのお客さんは特に、忙しい合間に。 パパっと注文する人が多いから、 クレジットカードの番号を入れるよりも、 Amazonでログインして買えちゃうほうが良いんだろうね。」

「購入完了・決済完了までの速さ」が、ユーザー様にとっては一番の利便性かと思いますので、
「急ぐお客様」が多い場合は、特に好まれるようです。

以上、2015年9月にフューチャーショップでのリリース後に、
600店舗以上が導入した「Amazon Pay」その導入店舗様のデータから考察されたことを、
レポートさせていただきました。

よろしければ「Amazon Pay」のご利用を、ぜひご検討ください。