【最新版】ECサイト構築で最大450万円「IT導入補助金2022」補助額や申請方法を解説

EC・ネットショップ運営お役立ち資料ダウンロードECサイトの構築などにかかった費用の一部を国が補助する「IT導入補助金」の2022年度の募集が始まりました。補助額は最大450万円。DX化に取り組んでいる企業さまや、ECサイトの立ち上げを検討している企業さまなどに、ぜひ活用していただきたい制度です。「IT導入補助金2022」の内容と申請手順を解説します。

「IT導入補助金2022」とは?

IT導入補助金2022(正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」)は、働き方改革や賃上げ、被用者保険の適用拡大、インボイス制度への対応といった経営課題に直面する中小企業・小規模事業者を支援するための補助金です。

顧客対応や販売支援、決済、資金回収管理、在庫管理、物流管理、会計管理、財務管理、労務・給与・人事管理といった業務プロセスの生産性向上につながるITツール(ソフトウェアだけでなく、付随するオプション機能や役務も含む)の導入費用の一部を国が補助します。

ECサイトを構築する場合や、EC関連のITツールを導入する場合にも、交付条件を満たせば経費の一部を補助金として受け取ることができます。

ITツール活用事例はこちらを参考にしてください

IT導入補助金2022「ITツール活用事例」

補助対象のインボイス制度について、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

インボイス制度の解説コラム_メイン画像

【2023年最新版】インボイス制度を5分で解説!EC事業者に必要な対応や注意点とは?

2022-11-09

補助金の対象

補助金の対象は申請枠によって異なりますが、ソフトウェアの購入費やクラウドサービスの利用料、導入時のコンサルティング費用などが補助されます。

■補助対象の例

  • ソフトウェア購入費
  • クラウドサービスの利用料
  • ITツール導入に関するコンサルティング費用
  • システムの保守・サポートといった役務にかかる費用
  • PCなどハードウェアの購入費

対象業種

飲食業、宿泊業、卸売業、小売業、運輸業、サービス業、製造業、建設業、医療、介護など幅広い業種で応募することができます。業種によって資本金や従業員数に制限があるため、詳しくは各種申請枠の公募要項を確認してください。

対象ツール

IT導入補助金の対象となるのは、IT導入補助金事務局に認められた「IT導入支援事業者」が提供しているツールや役務のみ(一部に例外あり)。IT導入支援事業者の一覧は下記のサイト(IT導入補助金2022 公式サイト)でご確認ください。

IT導入補助金2022「IT導入支援事業者・ITツール検索」

IT導入補助金 2つの応募枠

IT導入補助金は「通常枠」と「デジタル化基盤導入枠」の2種類があります。さらに「通常枠」はA類型とB類型、「デジタル化基盤導入枠」はデジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型に分かれます。それぞれの類型で応募条件や受け取ることができる補助金の額が異なるため、有利な方法を選択しましょう。

「通常枠(A・B類型)」

業務プロセスの労働生産性向上に貢献するITツールを導入した際に、ソフトウェアの費用やクラウド利用料(最大1年分補助)、導入関連費などが補助されます。ITツールの対象となる業務プロセスの範囲や、ITツール導入後の賃上げ目標の条件などによって「A類型」と「B類型」に分かれます。

A類型は補助金額が30万~150万円、B類型は補助金額が150万~450万円。補助率はどちらも経費の1/2(50%)以内です。

出典:IT導入補助金2022 公式サイト「IT導入補助金について」より

 ◆【資料】通常枠(A・B類型)の交付規定公募要領

「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入に限定した特別枠です。ソフトウェアの導入費用だけでなく、PCやタブレット、スキャナ、レジなどハードウェア購入費用も補助の対象です。

補助額はITツールの導入費用部分は5万円から350万円。補助率は50万円以下部分が経費の3/4以内、50万円を超える部分は経費の2/3以内です。

ハードウェアの補助額は10万〜20万円、補助率は経費の1/2(50%)以内です。

■通常枠との違い

デジタル化基盤導入枠は通常枠よりも補助率が高く、クラウドサービス利用料の最大2年分が補助されるなど優遇されています。ITツール導入後の賃上げ目標を設定する必要もありません。また、PCやタブレット、プリンターといったハードウェアの購入費用が対象になることも通常枠との違いです。

会計・受発注・決済・ECのソフトウェアを導入する際に、通常枠で補助金を申請することも可能ですが、デジタル化基盤導入枠は補助率などが優遇されているため、まずはデジタル化基盤導入枠の申請条件に合致しているか確認してみると良いでしょう。

出典:IT導入補助金2022 公式サイト「IT導入補助金について」より 

 ◆【資料】デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の交付規定公募要領

複数社で申請するなら「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」

デジタル化基盤導入枠の「複数者連携IT導入類型」は、サプライチェーンなどでつながった複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入し、生産性向上を図る取り組みに対して補助される制度です。

例えば、複数の企業が共通の分析ツールをECサイトに導入し、顧客のニーズを的確に捉えた情報発信を行うことで、オンラインとオフラインとをあわせた販売戦略や効果的な受発注、在庫管理などを図る取り組みが「複数社連携IT導入類型」の対象となります。

会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの費用およびハードウェアの費用が補助されるのはデジタル化基盤導入類型と同じですが、それに加えて、消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、キャッシュレスシステム、AIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージなども補助対象です。

さらに、複数の企業が連携するためのコーディネート費用や、取り組みへの助言を行う外部の専門家に対する謝金などの一部も補助されます。

補助金の上限額はトータルで3200万円です。グループ構成員は10事業者以上で申請が可能になります。

出典:IT導入補助金2022 公式サイト「IT導入補助金について」より

 ◆【資料】デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)交付規定公募要領

補助金の申請手順 8ステップ

「IT導入補助金2022」の申請から補助金を受け取るまでの手順は、次の8ステップで進みます。

❶ 事業内容を理解

まずは公募要項を読み、補助事業について理解してください。必要に応じて商工会、商工会議所、ITコーディネーターなどに相談しても良いでしょう。

❷ ITツールを選択

IT導入支援事業者の中から、導入したいITツールを決定します。

IT導入補助金2022「IT導入支援事業者・ITツール検索」

❸ ID取得

「gBizIDプライム」アカウントを取得し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」を宣言します。

IT導入補助金2022「関連施策への取り組み」

❹ 交付申請

IT導入支援事業者との商談を進め、交付申請の事業計画を策定した後、申請マイページから申請に必要な情報を提出します。

IT導入補助金2022「申請マイページログイン」

❺ ITツールの導入

交付決定の連絡を受けた後、ITツールの発注・契約・支払いを行います。

補助金の交付決定の連絡が事務局から届く前にI Tツールの発注・契約・支払いなどを行った場合、補助金の交付を受けることができませんので注意してください。 

❻ 事業実績報告

補助事業の完了後、実際にITツールの導入・支払いを行ったことを証明する書類や、事業実績報告を提出します。

❼ 補助金交付

補助金額が確定した後、補助金の交付を受けます。

❽ 実施効果の報告

ITツール導入後の効果を提出します。補助金を受け取った事業者が「申請マイページ」に必要な情報を入力し、IT導入支援事業者が「IT事業者ポータル」から代理で提出します。

申請手続きの詳細については下記のサイト(IT導入補助金2022 公式サイト)もご覧ください。

IT導入補助金2022「申請・手続きフロー」

IT導入補助金の注意点

IT導入補助金2022を、これから申請する方もいらっしゃると思いますので、申請する際の注意点をあらためて解説します。

なお、申請の最終締切は下記の日程が予定されています。最新情報はIT導入補助金のスケジュールをご確認ください。

  • 通常枠(A・B)・・・最終締切(9次締切分) 2022年12月22日 17時
  • デジタル化基盤導入枠・・・最終締切(18次締切分) 2023年1月19日 17時

補助金の交付はそれぞれ1回まで

IT導入補助金2022において交付を受けられるのは、通常枠とデジタル化基盤導入枠のそれぞれ1回ずつまでです。2022年度に補助金の交付を受けた事業者さまは、年度内に同じ補助金を再度申請することはできません。

なお、過去3年間に類似の補助金(IT補助金2019、2020、2021)の交付を受けた事業者さまは、IT導入補助金2022の申請用件を満たせば申請することは可能ですが、審査上の減点措置の対象となるため審査が通りにくくなる可能性があります。

ECサイトの構築費用が補助対象になるのは「新規作成」のみ

ECサイトの構築費用について補助金を申請する場合、デジタル化導入基盤類型で申請する必要があります。補助金を申請できるのは、ECサイトを新規作成した場合のみです。既存のECサイトをリニューアルした際の費用は、補助の対象にはなりません。なお、既存のホームページをリニューアルし、新たにEC機能を追加した場合は、「新規で導入された部分のみ」の費用が対象となります。

申請から補助金交付まで数カ月かかる

IT導入補助金を申請しても、すぐに補助金を受け取れるわけではありません。例えば、デジタル化基盤導入枠の最終締切(18次締切分)は2023年1月19日ですが、交付決定日は2023年3月3日に設定されており、交付が決定するまでおよそ1カ月半かかる見込みです。さらに、交付が決定してからITツールなどを実際に導入し、事業実績報告を完了しないと補助金を受け取ることはできません。補助金が実際に振り込まれるのは、申請してから数カ月先になるでしょう。補助金を受け取る前にITツールなどの費用の支払いが発生するため、キャッシュフローの計画にも注意が必要です。

ITツールベンダーと共同で申請

IT導入補助金を申請する際は、書類の作成や申請手続きをIT導入支援事業者(ITツールなどを提供しているベンダー)と共同で行う必要があります。補助事業の完了後には、ITツールを実際に導入して費用を支払ったことを証明する「事業実績報告」をIT導入支援事業者と共同で提出しなくてはいけません。

IT導入支援事業者やITツールはIT導入補助金2022のサイトで検索することができます。また、申請手続きの詳細はIT導入補助金2022の「申請・手続きフロー」をご確認ください。

IT導入補助金の申請手順

書類作成や申請手続きは、申請者とITツールベンダーなどが共同で進める

画像出典:IT導入補助金2022 申請・手続きフロー

その他ECサイト構築に使える補助金(ご参考)

ECサイト構築やECシステムの導入などに使える補助金は、IT導入補助金の他にもあります。EC事業の強化や新規参入を検討している事業者さまは参考にしてください。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金のWebサイト

※画像は全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金」のWebサイト

「小規模事業者持続化補助金」は、自社の経営を見直して持続的な経営を行う小規模事業者を対象に、販路開拓や業務効率化にかかった費用の一部を補助する制度です。

例えばEC関連では、ECサイトの構築・更新・改修・開発・運用などの経費が補助対象になり、リニューアルも含まれます。また、新サービスを紹介するチラシの作成や配布、新商品の試作品開発に伴う経費なども対象です。

補助金を申請できるのは、小規模な法人や個人事業主のみ。常時雇用の従業員数は「商業・サービス業(仕入れた商品を販売する事業)」が5人以下、製造業は20人以下といった条件があります。

また、申請枠は複数の種類があり、「通常枠」の補助率は2/3、補助上限は50万円です。「賃金引上げ枠」や「後継者支援枠」など、追加要件を満たした場合に認められる申請枠は補助率が2/3、補助上限は200万円(インボイス枠は100万円)となっています。

詳しくは、全国商工会連合会の「小規模事業者持続化補助金」のサイトなどをご確認ください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金のWebサイト

※画像は中小企業庁「事業再構築補助金」のWebサイト

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少した中小企業を対象に、新規事業への参入や業態転換などにかかる費用の一部を補助する制度です。例えば、実店舗で商売している小売店がECを始める場合、ECサイトの構築や広告宣伝費などの費用の一部が補助されます。

従業員数などに応じて最大8000万円の補助を受けられるなど、補助金の上限はIT導入補助金より高く設定されています。ただし、補助を受ける条件として、企業が生み出す付加価値額を増やす必要があるなど、いくつか条件が設定されています。詳しくは中小企業庁の「事業再構築補助金」のページをご確認ください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり補助金のWebサイト

※画像は全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のWebサイト

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入といった制度変更に直面する中小企業や小規模事業者を支援するための補助金です。革新的なサービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善などを目的とした設備投資の費用の一部を補助します。

生産性向上や海外事業拡大、DX、賃上げ、CO2削減といった目的ごとに応募枠が設けられており、従業員数に応じて100万〜3000万円の補助金額が設定されています。

詳しくは、全国中小企業団体中央会の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のページをご確認ください。

futureshopでのECサイト構築にも適用

IT導入補助金を活用すれば、EC事業への参入や本格展開のための費用を軽減することができます。SaaS型ECプラットフォーム「futureshop」シリーズでECサイトを構築する場合、IT導入支援事業者として登録されているパートナー企業さまとご契約いただくことでIT導入補助金を申請することが可能です。パートナー企業さまの一覧ページで各社のバナーをクリックし、会社紹介ページへ遷移すると、その会社がIT導入補助金に対応しているか否かをご確認いただけます。

futureshopでのECサイト構築を得意としているIT導入支援事業者をご紹介することも可能ですので、ECサイトの立ち上げや、ECプラットフォームのリプレイスを検討している企業さまはお気軽にお問い合わせください。

▶︎SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」にご質問やご相談は、こちらからお問い合わせください

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自らもEC業界を学びつつ、みな様のお役に立てれば!と 日々奮闘する中の人です。
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