EC担当者が知っておくべき!最新技術の祭典SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)

画像出展:SXSW

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毎年3月にアメリカ・オースティンで開催されるサウス・バイ・サウス・ウエスト(South By South West, 以下SXSW)」というイベントについてご存知でしょうか?

SXSWは1987年に音楽イベントとして始まり、年を追うごとに大規模なイベントとなっています。音楽・映画などの華やかなイベントから、最新技術の発表の場として注目を集めてきました。
Eコマース分野でも最新技術の発表があるため、これからのトレンドを知るためにも注目すべき重要なイベントです。

EC担当者がSXSWを注目すべき理由

EC担当者がSXSWについて注目すべき理由としては、最新テクノロジーの発表の場であるためこれからのトレンドを知る意味で情報を掴むのに必要だからです。
同イベントでは過去にTwitterやFoursquareといった今や世界中の人々に用いられているアプリの紹介もされました。

2019年にSXSWに共通するキーワード

2019年のSXSWの各種イベントに共通するキーワードは、AI、VR、AR、MR、 機械学習、ブロックチェーン、データヴィジュアライゼーション、インタラクションが挙げられます。

特にAIに関しては企業の各講演で注目すべきキーワードとして非常に多く取り上げられていました。
SXSWでは世界的に有名な大企業からスタートアップ企業まで多くの企業が参加し、講演を行いました。

以下では、SXSWで発表された講演などを元に、Eコマースに関する最新技術のまとめや2019年のトレンド予測を行いたいと思います。

Walmartが行なっているECサイトと実店舗の連携

ECサイトと実店舗の売上を順調に伸ばしている小売企業として、アメリカの大手小売チェーンの「Walmart(ウォルマート)」が挙げられます。

ウォルマートはこれまでに複数の自社アプリを開発しており、このアプリによってECサイトと実店舗の連携を巧みに実行しています。
ウォルマートは小売企業ですが、今や最新テクノロジーを駆使したテック企業ということもできます。

CNBCの記事によると、ウォルマートの2018年の売上高について次のように報じられています。

In its latest quarter, Walmart’s e-commerce sales surged 43 percent. In 2018, it achieved online sales growth of 40 percent.

(訳)Walmartのeコマースの売上高は直近の四半期で43%増加しました。(中略) 2018年には、40%のオンライン売上成長を達成しました。

記事参考:CNBC

この売上増加の理由として、オンラインサイトと実店舗のシームレスな連携が挙げられます。
両方のチャネルでの買い物体験をスムーズにするために、同社は便利なアプリをリリースしており、代表的なものとして次のような機能を備えています。

Walmartアプリの各機能
  • オンラインで注文した商品を店舗で受け取ることが可能
  • 欲しいものリストを作成可能、また頻繁に購入する商品をアプリ内に保存できる
  • バーコードスキャン機能で顧客自らが店舗で会計可能。レジの混雑を解消する効果も
  • 会計後に競合他社の商品と価格を比較し、ウォルマートの商品より他社商品価格が低い場合差額を電子ギフトカードとして利用できる
  • 決済アプリのWalmartPayで店頭での即座の支払いが可能

参考:Walmart

ウォルマートはこのような便利なアプリ開発に熱心で、結果として売上増に繋がっている好例であると言えます。
ECサイトと実店舗の両方を運営しているのであれば、ウォルマートの最新技術から参考にすることは多くあるでしょう。

futureshopでは先日のバージョンアップでcommerce creatorでのfutureshop-omni-channelが利用可能になりました。

futureshop-omni-channelでは、ECサイトと実店舗における会員の統合や、ECサイトで実店舗の在庫表示ができるため、ECサイトと実店舗のシームレスな連携を行うことができます。
ECサイトと実店舗の運営を考え始めたい方は、ぜひこちらの機能もご参考になさってください。

SXSW2019での最新のEコマース事例

Eコマース関連のニュースとして次に3つの事例をまとめました。

まずStockXという企業について注目してみたいと思います。

StockX

StockXは2015年に設立された比較的新しい企業。
同社の提供しているサービスは、「モノを株のように売買するプラットフォームの提供」です。
取扱い商品はブランド品がメインで、専属の鑑定士によって偽物をふるい落とします。
鑑定済みの商品のみ出品・販売されるため、ユーザは安心して本物の商品をウェブサイトから購入することができます。

画像出典:Stock X

StockXのプラットフォームでは平均的な売買価格や現在の価格など、商品の売買をするために必要な情報が全て盛り込まれているため、別のウェブサイトに飛び回る必要がありません。
このようなユーザフレンドリーなウェブサイト設計やロイヤリティを高める施策によって、StockXを利用するユーザが増えています。

SoftVision

次に、SoftVisionについて取り上げたいと思います。
SoftVisionは最新テクノロジーを活用して企業の広告の企画・宣伝を行う広告会社です。
今回のイベントで同社は「The Future of Beauty」というAR技術を用いたデモンストレーションを行いました。こちらはSXSWで開催された同社のブースのまとめに関する動画です。

参考:Youtube

The Future of Beautyでは、Looking Glassと呼ばれるパネルでデモ体験を行いました。

画像出典:Youtube

Looking Glassは鏡のように写すことができ、画面に表示されるアンケートとAIによるフェイシャルスキャン技術によって、パーソナライズされたスキンケア商品を作り出すことができます。

Looking Glassとは何かというと、平面に見えるガラス板に3D映像を表示させることができる今非常に注目を集めている機器です。

画像出典:Looking Glass Factory

このLooking Glassはゲーム業界をはじめとした様々な分野での活用が期待されています。
VRのようにヘッドセットを装着することなく、平面に3Dの映像を映しだすことができます。

SXSW2019ではSoftVisionとPerfect Corporation副社長のAdam Gam氏とのトークセッションも行われました。

Perfect Corporationは美容関連の便利なアプリ「YouCam Makeup」の開発企業です。

画像出典:YouCamMakeup

このアプリの特徴は、スマホの内カメラで自分の顔を移すと好みのメイクを施したようにARで映し出すことができるため、商品を購入する前に様々なコスメ商品を「実際に顔に塗ることなく」試すことができ、気に入ったものがあればサイト内から購入ページに遷移することができます。

参考:YouCamMakeup

BOSE

次に、音響機器メーカーのBOSEの例を挙げます。
同社は音楽を聞くことができるサングラスを発表し、注目を集めていました。

画像出典:BOSE

BOSEが発表したサングラスは着用時にのみ音楽が鳴るしくみで、今のところ音楽を聴く機能しかありませんが、今後このように従来の固定概念を変えるようなウェアラブルデバイスが登場することで、スマホやPCだけではない接点が生まれていくのかもしれません。

例えばサングラス上にナビゲーション機能がついたり、実店舗などで買い物をする際にECサイトの価格を比較できるようになれば随分楽になるのではないでしょうか。
このような技術が実現すれば、私たちはスマホやPCを使って何かを検索する回数が少なくなるのかもしれません。

今後注目されていくであろう分野、空間コンピューティング

SXSWとは話題は少し離れますが、2019年のイベントではバーチャルと現実世界の融合を展示しているブースが目立ちました。
今後、現実世界と仮想世界の境目をなくすような技術が注目されていることがうかがえます。

参考:Youtube

こちらの動画はOscar FalmerというARキット開発者による空間コンピューティング構想です。
参考:Oscar Falmerホームページ

動画の中では、名刺をかざすと担当者の詳細な情報が自動的に広がっていき、会社情報も閲覧することができます。

上記のホームページでは、レストランのメニュー表や名刺、Twitterのツイートを現実世界の空間に並べるように表示させます(TweetRealityはすでにアプリがリリースされています)。
閲覧するためにはおそらく専用のヘッドセットが必要になるでしょうが、未来を感じさせる非常にわくわくするような構想ですね。

視線をトラッキングできるHawkeye

参考:Youtube

ECサイトのマーケティング担当者であれば、ウェブサイトのどの部分がもっともユーザの視点を集めるか気になるのではないでしょうか。

Hawkeyeというアプリは、ユーザの視点をドットで表すことができます。

使い方は様々ですが、非常にユニークなのがスマホを操作している際に目線を合わせることで、画面にタップをすることなしに操作ができるという点です。
一般ユーザーがこのアプリをインストールする機能はタップレスでスマホを操作することですが、ECサイト運営企業にとってはユーザの視線から深い洞察を得ることができます。

ただし現在のところiOS 12.0以降のiPhone、iPad、およびiPod touchかつTrue Depthカメラのあるものにしか対応していませんが、このような機能が一般的に普及するようになればもっと簡単にウェブサイトの分析が行えるようになるかもしれません。

まとめ

2019年のSXSWはAR、VR、MRやAI、ブロックチェーンの活用、またインタラクションによって仮想世界と現実世界を繋げるような技術が目立ちました。

今年このような技術が爆発的に活用されるかはまだわかりませんが、確実に新しい技術が私たちの暮らしを便利にしてくれるようなものばかりです。
イーコマース業界も、共に進化していくことでしょう。情報のアンテナを常に貼っておくことは大切ですね。
来年のイベント開催にも期待が高まります!

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