自社ECの売上を伸ばす「購買心理にあわせたサイト改善」3つのポイント【セミナーレポート】

 

「自社ECサイトの売上を伸ばすために、まず何をすべきか迷っている」

「打ちたい施策はたくさんあるが、優先順位をつけられない」

「同じ施策を繰り返すばかりで、効果が出にくくなってきた」

自社ECサイトの運営担当者さまの中には、こうした課題を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

そこで株式会社フューチャーショップはこのほど、自社ECサイトの売上を伸ばすノウハウを解説するオンラインセミナー「購買心理にあわせたサイト改善で自社EC売上120%アップを実現した方法」を開催しました。

講師を務めてくださったのは、ECコンサルティングで多くの実績を持つ株式会社ヘノブファクトリーのWebコンサルタントさん。同社が支援してきたEC事業者さまの成功事例を踏まえ、サイト改善の方法論を解説してくださいました。

220人以上がエントリーするなど、大変ご好評をいただいたオンラインセミナーの一部を特別に公開します!

【スピーカー】

ヘノブファクトリー船田様

株式会社ヘノブファクトリー 代表取締役社長/WEBコンサルタント 舩田 美希 氏

大学卒業後、放送事業会社にてWEB担当者として音楽系オウンドメディア企画立案などに従事。2012年ヘノブファクトリー入社。WEBマーケティング全般を専門領域としながら、ECサイト・サービスサイトの改善・効果UPを幅広く支援。その後、通販化粧品メーカーにて戦略・マーケティング責任者を経てヘノブファクトリーに再度Join。様々な業種・商材のWEBマーケティング戦略の実施と、効果検証を実行する。ウェブ解析士。

ヘノブファクトリー村瀬様

株式会社ヘノブファクトリー 最高執行責任者/WEBコンサルタント 村瀬 明希 氏

大手プロダクトデザイン企業にてパッケージデザインや広告デザインを手掛けたのち、ウェブデザインの世界へ。持ち前のデザイン設計スキルにより数多くの企業のサイト改善に貢献。シュワルツコフ、ヌーブラジャパンなどジャンルを問わずサイトリニューアル等でクリエイティブデザインを管理・運営。成果を上げるデザイン設計に力を入れている。セミナー講師としても活動中。クリエイティブデザインプロデューサー。

株式会社ヘノブファクトリーのWebコンサルタントさんが登壇

株式会社ヘノブファクトリーは、ECサイトやWebサイトの戦略設計から施策の実行までサポートし、結果が出るまで伴走するコンサルティング会社です。2004年にWebサイトの制作会社として創業した同社は、複数のECサイトを自ら運営し、そこで培ったEC運営のノウハウをコンサルティング事業に活かしています。これまで支援したECサイトやWebサイトは1000サイト以上。futureshopで構築・運用している店舗さまの運営支援も行っています。

私たちは、各分野のスペシャリストがチームを組んで、ECサイトやWebサイトの戦略設計からディレクション、実務まで網羅的にサポートします(株式会社ヘノブファクトリー 村瀬さん)

ヘノブファクトリーセミナー1

EC事業で培った知見をコンサル事業や人材育成事業に活かしている

自社ECサイトの売上を伸ばす3つのポイント

セミナーの冒頭、村瀬さんは「同じような施策を打っていても、成果が出るECサイトと、出ないECサイトがある」と指摘し、ECサイトの売上高を伸ばすポイントとして次の3つを挙げました。

売上を伸ばす3つのポイント

  • 消費者の購買心理を理解し、心理に沿った施策を打つ
  • すべての施策を連動させる
  • 消費者の心理を読み解くデータ分析を行う

これら3つのポイントは、株式会社ヘノブファクトリーが自社で手がけたECサイト運営の経験や、数多くのECサイトの運営をサポートしてきた経験から導き出したもの。消費者の購買心理に沿って施策を考え、すべての施策を連動させて実行するとともに、効果を阻害している課題を見つけるためのデータ分析を行うといった一連のサイクルを回すことで「効果が積み重なって売上拡大という成果につながる」(村瀬さん)と強調しました。

1.消費者の購買心理を理解し、心理に沿って施策を打つ

売上を伸ばす1つ目のポイントは、ECサイトを訪れる消費者の購買心理を理解した上で、その心理に沿って施策を打つこと。自社ECサイトを利用している顧客が「なぜサイトを訪れ、どのような情報や商品を探しているのか」を理解し、顧客の購買意欲を高める施策を実行することが重要だと説明しました。

ヘノブファクトリーセミナー2

顧客の心理を理解することが、自社ECサイトの売上を伸ばす第一歩

流入経路のデータから顧客の心理を推測する

村瀬さんは、自社ECサイトを訪れた顧客の心理を理解するフレームワークも解説してくださいました。

顧客の心理状態を以下の4つに分類し、それぞれの顧客層の年齢や性別、行動、情報収集の方法といった人物像を具体的に書き出します。

  1. 明確層(明確に目的がある)
  2. 顕在層(悩みが明確、解決したい)
  3. 凖顕在層(悩みはあるが、解決策は不明)
  4. 潜在層(これから悩みを持つ可能性がある)
ヘノブファクトリーセミナー3

ピラミッドの上に行くほどニーズ(買いたい商品)が明確であり、購入の意欲が高い。下に行くほどニーズは漠然としていて購入の意思は弱いが、ユーザー数は多い。

顧客の人物像を明確にしたら、次に、自社ECサイトにおける「明確層」「顕在層」「凖顕在層」「潜在層」のそれぞれのおおよその訪問数を調べます。

その方法の1つは、顧客がクリックしたWeb広告の種類や、検索エンジンで使ったキーワードなど、自社ECサイトの流入経路に関するデータから購買心理を推測する手法です。

例えば、指名検索によって検索エンジンからECサイトに流入した顧客は、買いたい商品が明確に決まっている「明確層」だと推測できます。

「日本酒 プレゼント 父の日」といったキーワードで検索している消費者は、買い物の目的が明確ではあるものの、具体的な商品までは決まっていない「顕在層」だと判断できます。

ディスプレイ広告やSNS広告をクリックして流入した顧客は、解決したい悩みがあるものの、具体的な解決策を持たない「準顕在層」である可能性があります。

情報収集目的でオウンドメディアなどに流入した顧客は、将来的にニーズが発生する「潜在層」です。

自社ECサイトの流入経路に関するデータを分析すると、「明確層」「顕在層」「凖顕在層」「潜在層」の人数を推計することができます。その推計をもとに、ECサイトの客層の傾向を掴んでください(村瀬さん)

ヘノブファクトリーセミナー4

自社ECサイトへの流入経路に関するデータから購買心理を推測し、客層の傾向を掴む

2.すべての施策を連動させる

自社ECサイトを訪れる顧客の心理を理解したら、次は施策を具体的に考えます。その際に重要なことは、すべての施策を連動させること。施策を単発で実行するのではなく、カスタマージャーニーに沿ってすべての施策が連動するように設計することで、売上拡大などの成果につながると村瀬さんは指摘しました。

ケーススタディー

施策を連動させるとは、具体的にはどのような取り組みなのでしょうか。村瀬さんは、日本酒メーカーがWeb広告を出稿するケースを例に挙げて解説してくださいました。

Web広告を出稿すると、その広告に接触した消費者が、検索エンジンで商品について調べる可能性があります。その結果、指名検索や「商品名+口コミ」といった複合キーワードの検索ボリュームが増えることが想定されます。

このことを踏まえると、Web広告を出稿する前に、指名検索や「商品名+口コミ」といった複合キーワードの検索結果の上位に自社ECサイトが表示されるようにSEO対策を実施しておくことが重要です。

また、Web広告を出稿すると、新規顧客の流入比率が高まるため、自社ECサイトのランディングページや商品ページのコンテンツは、新規顧客にも分かりやすいものにしておかなくてはいけません。さらに、Web広告の出稿に合わせて新規購入キャンペーンを実施するなど、自社ECサイトに流入した新規顧客のコンバージョン率を高める仕掛け作りも必要です。

このように、Web広告に接触する顧客の心理状態や行動を想定し、SEOやページ制作、キャンペーンなどを連動して実行することが成果を上げるポイントになります。

施策の連動を意識すると、やるべきことや施策の優先順位が明確になり、施策のクオリティも高まります(村瀬さん)

ヘノブファクトリーセミナー5

すべての施策が連動するように設計すると、やるべきことや施策の優先順位が明確になる

3.消費者の心理を読み解くデータ分析

自社ECの売上を伸ばすポイントの3つ目は、施策の精度を高めるために、データ分析によって消費者の購買心理を読み解くことです。

自社ECサイトの売上を伸ばす施策は、1度実行して終わりではありません。施策を打っても成果が上がらなかった場合、消費者の心理に沿った施策を打てていない可能性があるため、効果検証と改善のサイクルを繰り返すことが必要です。

施策の効果検証を行う場合、サイト分析ツールを使い、ECサイトの流入経路に関するデータやアクセスデータ、コンバージョンデータなどさまざまなデータを分析します。

その際、データを単なる数字として捉えるのではなく、「データとは、感情や意思を持ったお客さまが行動した結果であると認識し、お客さまがどのような心理状態にあるのかをデータから読み解くことが重要」(村瀬さん)と指摘。顧客はなぜ、ECサイトにアクセスしたのか。サイトに流入した後、どのような心理状態だったのか。どのようなコンテンツを閲覧し、その後どう行動したのか。そういった心理状態をデータから読み解きます。

そして、EC事業者さまが想定している理想的な顧客の心理状態に近づけるために、「顧客に、どのように行動して欲しいか(=どのような態度変容を促したいか)」「行動を変えるために、どのように感じて欲しいのか」「そもそも、どのような心理状態の人にアクセスしてもらいたいのか」考え、それを実現する方法を施策に落とし込みます。

ヘノブファクトリーセミナー6

データ分析によって消費者の購買心理を読み解き、顧客の態度変容を促す方法を考える

ヘノブファクトリーセミナー7

サイト分析ツールの数字だけを見て、一般論として知られている改善策を闇雲に打つと失敗しやすい

売上が伸びる企業と、伸び悩む企業の違いとは?

最後に村瀬さんは、ここまでに解説した3つのポイントを踏まえ、自社ECサイトの売上が伸びる企業と、伸び悩む企業の違いを次のように説明しました。

売上を伸ばしている企業の特長・・・ECサイトの流入経路データなどを分析し、顧客の心理状態を読み解いた上で、その心理に沿って顧客の態度変容を促す施策を考え、すべての施策を連動させて実行している。また、理想的な顧客の心理状態と現実の乖離に着目した上で、「なぜ、その乖離が起きているか」を分析し、改善策を考えている。

売上が伸び悩んでいる企業の傾向・・・顧客の心理状態を理解せず、一般論として知られている施策や、ちまたに溢れているノウハウを闇雲に実践してしまう。実行している施策そのものに問題がなくても、施策の選び方や優先順位を間違えていたり、施策が連動していなかったりするため、成果につながりにくい。

まとめ:「確実な実行」と「改善」を繰り返すことで成果が出る

セミナーの最後に船田さんは、「成果を出すには施策を確実に実行し、効果検証と改善のサイクルを回すことが重要」とあらためて強調しました。ECサイトの弱点を見つけ、その弱点を補完する戦略設計と施策の立案を行った上で、施策をしっかり実行してきたことが売上拡大につながると説明し、セミナーを締めくくりました。

施策の成果がすぐに現れなくても諦めず、効果検証と改善のサイクルを継続的に回すことが大切です(船田さん)

ヘノブファクトリーセミナー9